1.宝石の魅力
科学がこれだけ進歩した現代でも、人間の形成された起源が解明できないように、宝石がどのようにして形成されたかも、推測理論として言えてもその生まれは分からない。
つまり、人間も宝石も自然界が創り出した神秘ということになる。
この観点から宝石を考えてみると、人間と宝石の間にいくつかの共通点があることに気付く。宝石の魅力を決定する要素には、色、形、輝き(ラスター)の三つがあると思う。
これを人間と比較してみると、色は血色、つまり健康に、形はプロポーションや顔立ちに、輝きは思想や教養にたとえられる。
参考までに宝石の集散地として有名な香港で使われている広東語の宝石に対する表現は、大変人間的で興味深いのでここに紹介すると、宝石の色のよいことを好顔色(ホウガンセック)、形のよいことを好様子(ホウヨンツィ)、輝きのよいことを好精神(ホウチェンサン)ということになる。
人間に今述べた三つの要素を全て満たした人が先ずいないように、宝石も三つの要素を完璧に備えた石は極く少ない。
しかし、一つの要素が非常に優れていてあとの二つの要素をカバーしてあまりあれば、その石は魅力があると言える。
ただ、この三つの要素の中では、形のよさよりも色、輝きの方が大切である。これもまた人間と同じではなかろうか。